絞り込み検索
お菓子の種類
材料
特徴

店主の独り言 Vol.2

  • スコーン・マフィン
  • パン
  • 焼き菓子

んん~? なんか変な音すんぞ

超大型のミキサー(あなたの想像を遥かに超える大きさ)のスイッチを押す。このボタンを押すことすら恐怖な一瞬。 最低でも25㎏の粉を使い水に関してはバケツに数杯、、、さて例えばバケツ5杯入れるところを6杯入れたらどうなるか。ほんの数滴で生地の柔らかさに影響するパン生地作り、それがバケツ一杯の水が多く入ったらどうなるか。

通常ある程度回ると「グオン、グォン・・バタンパタン」て感じで始まるのが「シャーッファシャン!シャンシャンカリカリ・・・」とロールパンの成形を皆でワイワイやってる最中に聞こえ

「ん~?なんか変な音すんぞ」と師匠。

{ヤバいなんか変な音しとる。。。}と私の心。

急いでミキサーに戻り停止からの開封の儀。。。(もうこの自動でゆっくり上から下にガ~ッと降りてくる蓋が本当に嫌い)目の前に広がるドロドロのまとまりのない生地はもはや「パンスライムがあらわれた」とドラゴンクエストのモンスター登場音がハッキリ聞こえる。

一瞬で体中がひんやりして手が震える、何十本分というパン生地がこの一瞬で無駄になるのだ。もはや粉を入れようが何しようがどうにもならない。 生地、成形、発酵、焼きとすべてが合間あいまで皆でこなしていくのでどこか一か所でトラブルがあれば全部が狂うのだ。 特に生地製造は失敗は許されない、そしてドロドロパンスライムの一番の問題は「発酵する」ところにある。 

どんどんどんどんどんどん膨らんでいくのだ。。。それはまさに単体スライム達がまとまってキングスライムになるようにどんどんどんどん膨らんでいくのだ!これを倒すには奥義を出す以外になく、焼きのスタンバイで手がいっぱいの焼き担当を巻き込み成形からも2人、職人4人で繰り出す必殺技「迷惑千万鉄板乗せ業火焼却」なる大技! 大きな鉄板に生地を乗せ窯に放り込む、ひたすら膨らみ続ける生地を切っては乗せ切っては乗せ窯に入れて焼きこ〇す。しかしすでに発酵が終わり焼きを待つパンがあるわけで長さ3メートルの窯ですら間に合わない。

隅に空いたスペースに申し訳なく放り込まれたパンスライム、半分以上が窯の外で鉄板上でぶよぶよぶよ膨らみながら窯が空くのを待つのだ。。。

「だめだ!鉄板からあふれるとりあえず袋に入れてあとで処分!」と師匠

{ひーッ!!!ごめんなさいごめんなさい!イーストこえー!}と私の心

頭の中で楽しそうにパンのことを教わる走馬灯が回る「パンは生き物だ」生き物だ・・イキモノダ・・・何枚もの大きな袋に入れたパン生地は膨らみ続けあっさり袋を破り、ドロドロと這い出しもはや勝利はない。 もう生気をなくした顔で作業をこなし呆然と泣きそうな顔で作業を進める私に皆は優しく慰めてくれる。それが余計に罪悪感を倍増させるのだがやってしまったものはしょうがないとはいえ問題は工房だけの問題ではないのだ。

ペリカンはほとんどがご予約な件

ペリカンは焼き上がりの時間でペリカンレディース達が計算つくされた予約をとる。その為焼き上がり時間が狂うということはお渡し時間もズレる場合があるのだ。当然店側にも説明しに行くわけだが師匠が先回りして事情を説明してくれていた。レディース達は見事な配分で配達分や遅い引き取り客と入れ替え客に迷惑が掛からないように完璧に修正していた。お詫びに行っても皆優しく大丈夫だよと言ってくれたり焼肉ね!なんて笑ってくれたり。。。それが余計に罪悪感倍増でもはや廃人。

どんまいどんまい!とみなに支えられ私はパンを勉強していきました。。。その数か月後

「あぁ?なんか変な音がすんぞ!」と師匠&師匠2

「誰かころして~!!!」と私の心

お菓子だより 一覧にもどる

投稿記事

相談する

お気軽にご相談ください!

お菓子職人へのお問い合わせは
「お菓子職人紹介ページ」より直接お願いします。