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沈丁花とおだんご


近所の路地から、2週間前ごろからでしょうか、甘い沈丁花の香りが漂い始めました。毎年、この甘い艶やかな香りに初めて気付いた日は、春はもうすぐそこだなぁと、心がポッと華やぐ気持ちがします。 

この季節になると、ふと思い出す句が。

 沈丁花 明かり障子のほの白き あかつきがたの 君の閨(ねや)かな

 
なんとも艶めかしいですが、与謝野鉄幹の歌です。

   春まだ浅き頃。 廊下が中庭を囲んでいるように建つ日本家屋でしょうか。

   沈丁花の花ががぼんやりと夜闇の中で浮き上がり、甘い香りを辺りに漂わせている。

   夜明け前に目覚めた鉄幹はふと晶子の寝室を眺める。

高校時代に習ったのですが、思うに、かつての生徒である私の記憶に今も深く残っているのは、国語の先生の個人的嗜好と熱い想いの成せるワザだったのでしょう。あの頃は沈丁花が咲き始めるのは、もう少しあと、3月半ば過ぎになってからだったのではないかと記憶しています。なので、高校生だった当時の私にとっては、いかにロマンチックなことを教えてもらっても、

沈丁花→もうすぐお彼岸でお墓の掃除の手伝いをさせられる→でも美味しいお彼岸お団子が待っている!
このイメージ。

実家のお墓には沈丁花が植えてありまして、毎年この甘い香りを嗅ぎながら母のお墓掃除のお手伝いだったのでした。
車でちょっと行ったところにとっても美味しいお団子屋さんがあるのです。みたらしだんごとこしあんだんごのみの小さなお団子屋さんなのですが、地元ではとても人気。毎日決まった数しか作らないので、うっかりしていると、売り切れてしまいます。お彼岸時は予約必須でした。今でも然り。そんなわけで花より団子、先生が生徒である私達と共有したかったのであろう特別なエモーションを残念ながら当時は全く何も感じなかったのですけれど、でも、今はあれから30数年分の様々な積み重ねでしょうか、この歌のイメージもシチュエーションも、容易に瞼に浮かぶ気がします。(笑)

話は戻ってこのお団子やさん、これ以上人気になってしまうと困るので、敢えて名前は伏せますね。
商品は、みたらし団子、あん団子、季節のお月見団子、お彼岸団子、お赤飯のみ。
あんこもお団子もお餅も全て手作り。いつもできたての美味しさとお値段。作れる分だけを作り毎日売り切って絶対に残りません。
ずー----っとお客様に愛され続けるお店とは、と、帰省するたびに教えてもらっている気持ちになります。



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