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決めるのは自分

  • 焼き菓子
  • マーブル
  • 店主になるということ

探したらみつけました。古い画像なので粗いです。10数年前に働いていたブーランジェリーで当時私が作って並べていたケーキです。
オーナーの、マーブルケーキもあればいいな、という提案に試作をしていた時のものです。アーモンドと抹茶が香るとても美味しい生地で、ただ、模様をホルスタイン牛にするか大理石にするかを決めかねておりました。大理石模様はマーブルケーキと言われるだけあり定番のタイプです。でも既視感ある上、バニラと抹茶、それぞれがバッティングしあい、個性がマイルドになってしまう感がありました。
そこで、いつも自宅で作っていたホルスタイン模様を作りました。(下の画像)最近はこういうお顔のケーキもよく見かけますが、当時はまだまだ斬新なデザインだったと思います。味わいも、食べ比べてみても、こちらは抹茶は抹茶、バニラはバニラでくっきりとして美味しい。出すならばやはりこちらの方が断然良いしおもしろいしお客様にもご興味を持っていただけるのでは、と思い、工房の上司に両方持参、その旨を伝え試食をして頂きました。
「味の違いもそこまでよくわからないし、(Σ(゚Д゚)!!!)やっぱりマーブルっていうなら普通のマーブルでいいのではないか」となかなかいいお顔はしていただけませんでした。そこで、今思えば私も大それたことをしたなと思うのですが、工房の上階の事務所にいる上司の上司へ直接持参し、最終的に判断をお願いをしたのでした。
約7年間会社員だった自分にとって、上司越えの直談判なぞはもってのほか、という概念があっただけに、冷や汗ものでしたが、今思うと自分の心は絶対こっちだろ、と明らかだったのですね。結果はもちろん牛模様のほうです。
5月限定のお菓子でわずかな間でしたし、パンが主役のブーランジェリーの中ですから焼き菓子は地味な存在でしたけれど、どんな小さなお菓子でも妥協はしませんでした。それを許して下さっていたオーナーには今でも感謝の気持ちでいっぱいです。

当時、私のつまらない苦労話(愚痴)を聞いてくださった方が「他人の店で苦労するくらいなら自分の店で苦労しなよ」と笑いながら料理人らしく励まして下さったのを思い出します。あの時、大理石模様の方で,と言われていたらどうだったかな、とふと考えます。泣きたいほど悔しかったはず。(笑)今の自分は、自分が美味しいと思う、好きなものだけを作れる、幸せな仕事をしているのだなと思っています。

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