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店主の『いちおし』なんですか? | Vol.2 くま農園

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\CONELメンバーインタビュー/
店主の『いちおし』なんですか?
Vol.02 くま農園/キャロットケーキ

CONELメンバーが作るお菓子は、一つひとつが個性的。

個人で製造から販売まで行なっているお店がほとんどだから、味はもちろん、材料やラッピングまで、作り手の「これが好き!」が詰まっています。

そんな魅力的なお菓子のなかから、店主が選ぶ『いちおし』をご紹介。

二回目に登場するのは、くま農園の小熊(おぐま)さん。

いちおしは、今年に入ってブーム到来中のキャロットケーキです。

■くま農園ですが、農家ではないんです

インタビューをはじめた途端「私、農家じゃないんですよ」と、すこし肩身が狭そうに言う小熊さん。小柄な小熊さんが、恐縮していつもよりさらに小さくなる。

くま農園を営んでいるのに農家ではないとは、どういうことだろう。

「昔から野菜が好きだったので、自分でも作ってみたいと思い、社会人向け農業学校で二年ほどかけて野菜についてみっちり勉強しました。野菜ソムリエの資格も取りましたが、くま農園はただの『屋号』で、自分の畑を持っている農家というわけではないんです」

聞けば「農地」の取得には公的な許可が必要で、先祖代々受け継がれた農地を大切に守りながら農家をしている方が大半だそう。

丁寧に説明してくれる姿に、小熊さんの野菜づくりへの真面目な想いを感じる。

くま農園は普段、2つのシェア農園と、アパートの大家さんに借りた小さな畑、計3つの畑で育てた野菜を使って、コワーキングスペースでのランチ販売や、お弁当のケータリングを行なっている。

ただ、マルシェに出店すると「くま農園は、どこにあるんですか?」とよく聞かれるそう。

「皆さん、熊が『ガオーッ!』というポーズをした立て看板がある広大な農園を期待されるみたいで、説明するようになりました。アパートの横の畑はひとりで借りているので、看板を用意してもいいかもしれませんね。見るのは、ガス点検の方くらいだと思いますが(笑)」

冒頭の緊張が解けた様子で、楽しげに教えてくれた。

『くま農園』の成り立ちが分かったところで、どんな野菜を作っているのかたずねてみた。玉ねぎ、じゃがいも、トマト、きゅうり、なすなど、スーパーに売っているような野菜は毎年作っているそう。

「でもやっぱり、自分で作る醍醐味は、珍しい野菜に挑戦できることです。1センチくらいしかない『マイクロトマト』や、タイ料理に欠かせない赤わけぎの『ホムデン』などを作っています。

特にシェア農園は、見たこともない野菜を育てている方がいたり、珍しい野菜の種をいただいたり、お互いの畑の“受粉”をお手伝いしたりと、交流しながら楽しんでいます」

自分の畑の野菜の雄花と雌花が同じタイミングで花が咲くとは限らないため、シェア農園のお隣さん同士で協力しながら受粉を行なっているそう。小学生の理科の授業以来に“受粉”という言葉を聞いた気がする。

「いちばん驚いたのは、コットンを作っている方がいたことです。白いお花がふわふわ~って咲いてて、思わず『綿の花ですよね?』と、話しかけに行っちゃいました。完全無農薬でオーガニックの綿を作り、それで洋服を作っていると仰っていました。

シェア農園にはたくさんの出会いがあって、面白いです」

■自家栽培にんじんで、キャロットケーキを作りたい

弾むような声で野菜について語っていた小熊さんが「そろそろ、お菓子の話もしないとですよね」と、気遣ってくれる。

お菓子の販売をはじめたのは、野菜の販売でお世話になっていた知人が紹介してくれた野菜の卸先の店長さんとの出会いがきっかけだそう。

「ご挨拶に伺って、はじめは野菜の話をしていたんです。それが私のInstagramの話になり『お菓子の写真を載せてましたよね。おいしそうだから、是非うちに卸してください』ってお願いされて。私はシェアキッチンの他のメンバーさんみたいに製菓の勉強をしたり、カフェで働いたりと立派な経歴があるわけじゃないから『いやいやいや!』って断っていたんです。お菓子づくりは、ただの趣味でしたから。でも『大丈夫』って何度も言ってくださるから、じゃあ……って」

カッコ悪い理由ですみません、とまた恐縮する小熊さん。

引き受けたからにはやらねばと、お菓子の研究を重ねる中で、「お菓子を作っている人は沢山いるけれど、使っている素材から作っている人はいない」ということに気付いたそう。

「お菓子づくりはプロじゃないという気持ちがありモヤモヤしていましたが、自分が育てた野菜と組み合わせれば、自信を持ってお客さまにお出しできるかもと思ったんです。

『このキャロットケーキ、にんじんから作ってます!』と言えたら、胸を張れるって」

ただ、去年は収穫できたにんじんが小さく、“自家栽培にんじん100%”で作るキャロットケーキは叶わなかったそう。

「えい!ってにんじんを抜いたら、5~6センチしかなくって(笑)。農薬も化学肥料も使わずに育てているし、自然が相手なので仕方ありません。

今年こそは、自分で育てたにんじんだけで作るキャロットケーキをお届けしたいです」

そうインタビューで語ってくれた“自家栽培にんじん100%”のキャロットケーキの第一弾が、なんとこの度実現したそう!

さらにこれからの展開として、一般的なオレンジ色のにんじん以外に、紫や黄色のにんじんを使ったキャロットケーキも考えているんだとか。

詳しくは企業秘密だが、にんじんの色ごとにスパイスを変えたり、レーズン以外のフルーツを使ったりなど、胸躍るアイディアが小熊さんから次々と出てくる。聞いているだけで、ワクワクが止まらない。

「すごくおいしそうだなって、自分でも思います。早く作ってみたいです」

春に種を蒔いたにんじんがこの6月、無事に収穫時期を迎えた。

色とりどりのキャロットケーキが揃う日が、今から楽しみだ。

取材・文=炭田友望/写真=CONEL

くま農園/小熊さん

CONEL お菓子職人紹介

無農薬&無化学肥料で育てた野菜とハーブを中心に、それらを使ったお弁当や焼き菓子の販売を行なっている。焼き菓子は、バターと牛乳の代わりに良質な植物性オイルと豆乳、ヨーグルトなどを使用し、すっきりとした味わいと食感が特長。

・活動キッチン:基地キッチン(浅草橋)

・営業日:詳細はInstagramをご確認ください。

・Instagram:https://www.instagram.com/kuma_nouen/

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